『忍姫恋絵巻』
「そうか!!」
「才氷様?」
声をあげるあたしを、伊津菜さんは不思議そうに見つめる。
この場は、雷鳴に任せよう。
それに、ここには伊津菜さんがいる。
あたしが離れても、きっと女達をまとめてくれるはずだ。
「あたしは、この先の道の安全を確かめに行ってくる。伊津菜さん達からは少し離れる事になるんだけど…」
「かしこまりました。それでは、私たちはどうすれば良いでしょうか?」
「うん。このまま、雷鳴に続いて進んでくれていいよ。あたしの足なら、すぐに伊津菜さん達の所へ戻れる。とにかく、足を止めるのも進むのも危険な事には変わらないから、それなら進んでほしい」
石川の里に早く近づかなきゃ。
織田の領地に留まるのは、なるべく避けたい。