『忍姫恋絵巻』


「まずい、このまま石川の里へは行けない。でも、石川の里もほっておけない……」


あたしは、どうしたらいい??


伊津菜さん達は、まだここから遠い場所にいる。
石川の里へは、あたし一人なら、この織田軍より1日早く着く。


「というか…なんで、石川の里に目をつけたんだろう」


今、石川の里は、忍びが手薄になってる。
八雲の里の人に入れ代わってるから……。


「まさか、今回の事……」


信秋にはバレてた??
でなきゃ、こんな偶然が起こる??


「今ごろ、八雲の里にも、織田の軍が!!」


1つの答えにたどり着いて、あたしは冷や汗をかく。


本当に、最悪の事態だ。
伊津菜さん達を逃がす場所の確保と、石川の里を守る事、そして八雲の里にこの危機を知らせること。


もう間に合わないかもしれないけど、やらなきゃ!!


チチッ


すると、目の前の枝に2羽の雀がとまった。
その雀達と目が合う。


「お願い……」


昔から、鳥と心を通わせるのが得意だった。

服部は、動物と心を通わせる術を学ぶのだけど、あたしはその術を学ぶ前から、それが出来た。


チチッ、チチッ


「これを、伊津菜さんと先崎の所へ」


あたしは紙に織田軍が迫っている事、伊津菜さんたちの位置や、石川の里への救出には、あたしが行く事を書いた紙を渡した。


チチッ!バタバタバタッ!!


そうして、雀達は空に羽ばたく。


先崎達と、伊津菜さん達を合わせて、とにかく織田の領地を出てもらうしかない。


幸い、女達を外に出せたのが良かった。
お願い、間に合って!!




















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