『忍姫恋絵巻』
②守りたい理由を知りたくての巻
それは昼間の出来事。
あたしが影武者として仕事をするのは、公の場のみ。
普段は家光の護衛兼世話係に回る事になった。
勿論顔は狐の面で隠して、護衛をする。
同じ顔があったら、影武者がいるってバレちゃうもんね。
ここ、大奥で過ごすことになって、早くも数日。
この生活にも馴染んできた。
って、いかんいかん。
考え事してた、家光の公務を見張らなきゃ。
そう、ここ数日で分かった事、家光はすぐ遊ぶ。
「…………家光?」
そして、やってしまった。
少し目を離した隙に、家光は部屋から脱走していた。
「またか………」
「はぁ……」
毎度、懲りないお姫様だ。
ため息をついて、あたしは狐の面を被る。
そして、家光を探しに部屋を出た。