『忍姫恋絵巻』


そうして、あたしは石川の里へと急ぐ。

ザーッ!!

雨が酷くなってきた。
それでも、あたしは足を止めずに走った。


そして、雨も止まないまま、織田軍より1日早く、石川の里へとたどり着いた。


「何奴!?」

「ここが、忍びの里と知ってきたか!」


石川の里の忍びに、一斉に囲まれる。


「あたしは、服部家が次期当主、服部才氷!!」

「!!あなた様が才氷様、お前達、構えを解け!!」


あたしの事を知っているのか、名乗った途端に、石川の忍び達はすぐに頭を下げ始めた。



「ご無礼を、ですが到着が早いですね。女達は……」

「ここは、すでに織田軍に狙われてる!すぐに里を出て!」


あたしの言葉に、皆が息をのんだ。


「明日には、織田もここへ来るはず。あたしは、五右衛門がここに来れない代わりに、ここに来たの!!」


五右衛門には、守れなかった苦しみを味あわせたくない。
なんとしても、助けなきゃ!!




















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