『忍姫恋絵巻』
そして、次の日の夕刻。
あたしはやっと伊津菜さん達と別れた森の近くまで来た。
チチッ!!
すると、手紙を届けてくれた雀が、手紙をもってあたしの肩へと止まる。
「ちょっと止まって!!」
あたしに続く石川の忍びに声を出して、あたしは手紙に目を通す。
「これは……」
どうやら、伊津菜さん達からの手紙だった。
才氷様へ
お手紙、無事に受けとりました。
こちらでも、状況が変わり、これから徳川へと向かう事になりました。
徳川の忍び、霧隠 赤様が来て、3代将軍、徳川 家光様より、八雲の里の人間を保護してくだるとの事でした。
私以外の女達は、雷鳴の案内で、徳川へと向かいます。
道中は、服部の忍びの方々のが護衛についてくださります。
赤様は、八雲の里へ向かわれました。
そして、私も八雲の里へ向かいます。
赤様から、家光様と赤様は、才氷様と共に戦う覚悟だと、伝えてほしいと言っておられました。
才氷様もどうか、道中お気をつけて。
伊津菜。
「嘘……赤が!?」
赤、どうしてあたしなんか追ってきたの?
どうして、巻き込みたくなかったのにっ!!
手紙を胸に抱き締める。
チチッ
雀が、心配そうにあたしを見つめた。
「急がなきゃ……」
皆、まだ八雲の里にいる。
早く、助けなきゃ!!
でなきゃ、あたしはまた何も守れない!!
「八雲の里の女達は、徳川に保護される事になった!あたし達は、これから八雲の里に急ごう!!」
「ハッ!!」
あたし達はこうして、八雲の里へ向かう事になった。