『忍姫恋絵巻』


そして、次の日の夕刻。
あたしはやっと伊津菜さん達と別れた森の近くまで来た。


チチッ!!


すると、手紙を届けてくれた雀が、手紙をもってあたしの肩へと止まる。


「ちょっと止まって!!」


あたしに続く石川の忍びに声を出して、あたしは手紙に目を通す。


「これは……」


どうやら、伊津菜さん達からの手紙だった。


才氷様へ

お手紙、無事に受けとりました。

こちらでも、状況が変わり、これから徳川へと向かう事になりました。

徳川の忍び、霧隠 赤様が来て、3代将軍、徳川 家光様より、八雲の里の人間を保護してくだるとの事でした。

私以外の女達は、雷鳴の案内で、徳川へと向かいます。
道中は、服部の忍びの方々のが護衛についてくださります。

赤様は、八雲の里へ向かわれました。
そして、私も八雲の里へ向かいます。


赤様から、家光様と赤様は、才氷様と共に戦う覚悟だと、伝えてほしいと言っておられました。


才氷様もどうか、道中お気をつけて。

伊津菜。



「嘘……赤が!?」


赤、どうしてあたしなんか追ってきたの?
どうして、巻き込みたくなかったのにっ!!


手紙を胸に抱き締める。


チチッ


雀が、心配そうにあたしを見つめた。



「急がなきゃ……」


皆、まだ八雲の里にいる。
早く、助けなきゃ!!


でなきゃ、あたしはまた何も守れない!!


「八雲の里の女達は、徳川に保護される事になった!あたし達は、これから八雲の里に急ごう!!」


「ハッ!!」


あたし達はこうして、八雲の里へ向かう事になった。















< 192 / 272 >

この作品をシェア

pagetop