『忍姫恋絵巻』
「どうしたの??」
笑顔で尋ねると、女の子は笑顔で、あたしに何かを差し出した。
匂袋……?
どこか、甘くて鼻につく匂い……。
あれ、どこかで嗅いだ事があるかも…。
「お姉ちゃんにあげるってさっきあの人が」
「あの人って?」
なんだっけ、これ……。
いつだ?いつ、この匂いを…。
女の子と話しながら、必死に匂いの記憶を辿る。
「赤い髪の、お兄ちゃん」
「赤い…髪…っ!!」
あれ…?
めまいがしてきた……?
意識も朦朧として……っ!!
「思い……出したっ……」
これ、よく忍びの間で使う、しびれ薬だ!!
確か、乾燥させると、しびれ効果を発する、アブクマ草。甘い匂いが特徴だった!!