『忍姫恋絵巻』
「二度と、大切なモノを失わないように…か」
先崎は、そう言って伊津菜さんを見つめる。
「自由に生きられる世を作るってこったな」
「世を平定して、あの信秋の野郎をぶっ飛ばせばいいんだろ?」
五右衛門と赤が目を合わせて笑みを浮かべた。
大切なモノを失わない。
今度こそ、あたしは守ると誓う。
あの人が望んだ自由な世界と、家光を守るための平定された世を作る為に。
「だから、そんな世が来るまでは……鬼や修羅と呼ばれても、戦い続ける」
懐刀を握りしめ、言ったあたしの言葉に、皆が頷いた。
「じゃあ、さしずめ俺達は4鬼衆だな」
「四鬼衆??」
五右衛門の言葉に、赤が首をかしげる。
「世を変える、4人の鬼となれ。鬼に金棒ってわけだ」
「良く分からねーけど、響きは良いかもな」
二人の言葉に、先崎も頷いた。
「なら、今ここに四鬼衆。共に戦う事を誓おう」
あたしの言葉に、皆が強く頷いた。
それぞれ、この戦いに込める思いは違う。
でも、今確かに、同じ未来を見据えて、ついに忍び達が手を取り合う時が来たのだと、実感した。