『忍姫恋絵巻』
「えええええーー!!」
「ははっ!」
あたしの悲鳴に赤は笑う。
笑い事じゃないんですけど!!
今、現在進行系で落ちてるんですけど!!
「クソッ、あいつら飛び下りやがった!!」
「死ぬ気か!?」
上から、追っ手があたし達を呆然と見下ろしている。
「才氷、息吸え!!」
「っ!!」
着水間際、赤に言われた通り息を吸って止めた。
バシャンッ!!
………っ!!
冷たい!!
もう、冬の川に飛び込むとか、何考えて…。
赤は川の中で、あたしを抱き締めたまま、どんどん下流へと流されていく。
バシャンッ
「ぷはっ!大丈夫か、才氷?」
「っは、大丈夫なわけ無いでしょ、冷たいし」
流されながら、あたしは赤を睨んだ。
「氷術使ってんのに、水は冷たいのか?」
「術を使ってなきゃ、普通の人と感覚は同じ」
そんな話をしていると、赤は「ここだ」と言って、あたしを岸へ引き上げた。