『忍姫恋絵巻』
「赤の炎が、あたしを何度も助けてくれた。もう、奪うだけの力じゃない…と思うよ、あたしは」
あたしが大奥で、先崎に捕らわれた時も、赤が炎で扉をぶっ飛ばして、ボロボロになってまで助けに来てくれた。
あたしを守ろうとしてくれた力に、あたしは感謝してる。
「そう…か。ありがとな、不思議と、お前の為に使う時だけは、ちゃんと言うこと聞くんだ、この力」
赤は、あたしを強く抱き締め返す。
「俺の、抑止力だよ…才氷は」
「!!」
驚いた、赤もあたしを抑止力だと思ってるんだ。
あたしも、この力を、心を暴走させた時、赤が傍にいると、この荒ぶる怒りがおさまった。
「あたしにとっても……赤は抑止力だよ。赤は、あたしが鬼に、修羅になりそうな時、あたしが服部 才氷でいられるように、この世界に繋ぎとめてくれる……」
「俺達、離れたらいけない運命で繋がってるんだな」
「え……」
あたし達が、離れたらいけない運命で繋がってる?
そっか、そんな運命なら、ずっと縛りつけていてほしい。