『忍姫恋絵巻』
「才氷、もう一人になるな。俺は、才氷と同じ道を進んでも、お前を置いて居なくなったりしない。だから、才氷も俺と生きる覚悟をしてくれ」
赤のすがるような瞳が、あたしを見つめる。
赤と生きる未来。
そんな事、あの日から考えた事の無い未来。
もし、全てが終わったその時を考えるとしたら、やっぱりあたしは……。
「赤と生きる……生きていきたい…そう願ってもいいのかな?」
涙でぼやける視界で、赤を必死に見つめる。
「当たり前だ、才氷。今度は俺が、才氷を守るから…っ」
「っ!!」
そう言って、赤はあたしに口づけた。
それは、次第に深くなって、いつの間にか赤の事しか考えられなくなる。
あたし達が、離れる事の出来ない運命にあるのなら…。
どうかこの先も、この人と離れる事がありませんように。
そう、赤の肩越しに見える月に願うのだった。