『忍姫恋絵巻』
次の日の朝。
「失礼します」
あたしは、今だ目覚めない家光が眠る部屋の襖を開けた。
「……家光」
早く、元気な顔を見せて?
あたしの事、どんなに責めてもいいから…。
あたしは眠る家光の隣に腰を降ろす。
「痛む…?」
家光の頭を撫でて、顔に出来ている傷にそっと触れた。
顔には沢山の怪我の跡が残っている。
怪我させてごめんね…。
痛くて、怖くて、たくさん泣いたんだろう。
目元が涙の後で乾燥してる。
「家光…あたしは…家光を守りきれなかった」
また同じ事を繰り返して…。
大切な人を守れなくて…。
弱いままのあたしは、どうしたら変われるの?
家光の手を握り、あたしは俯いた。