『忍姫恋絵巻』
「はは、過保護だなー」
赤は呆れたように笑った。
「うるさい!過保護くらいが、あのお転婆姫には、ちょうど良いくらいだから」
「でもよ、あんただって、こんな時くらいしか、綺麗な着物着て娘のように振る舞えないだろ?」
確かに、あたし達忍びは、仕事以外で、日中どうどうと外を歩けない。
いつどこで、命を狙われるか、分かったもんじゃないし。
「今日くらい、肩の力抜けば?」
赤はそう言いながら、いつ買ったのか分からない、焼き鳥をあたしに差し出してくる。
「は?いつ買ったの?」
「今?」
赤はすぐ隣の焼き鳥屋を指差した。
「まさか、盗んで……」
「勘定は済ませたからな!」
赤はポカリとあたしの頭を叩いた。