『忍姫恋絵巻』


「はは、過保護だなー」

赤は呆れたように笑った。


「うるさい!過保護くらいが、あのお転婆姫には、ちょうど良いくらいだから」


「でもよ、あんただって、こんな時くらいしか、綺麗な着物着て娘のように振る舞えないだろ?」


確かに、あたし達忍びは、仕事以外で、日中どうどうと外を歩けない。


いつどこで、命を狙われるか、分かったもんじゃないし。


「今日くらい、肩の力抜けば?」


赤はそう言いながら、いつ買ったのか分からない、焼き鳥をあたしに差し出してくる。


「は?いつ買ったの?」

「今?」


赤はすぐ隣の焼き鳥屋を指差した。


「まさか、盗んで……」

「勘定は済ませたからな!」


赤はポカリとあたしの頭を叩いた。



















< 50 / 272 >

この作品をシェア

pagetop