『忍姫恋絵巻』
「才氷には、真っ赤な椿のが似合うし!」
赤はなぜか怒りながら、先程買った椿のかんざしをあたしの髪に差した。
「な、何す……」
「俺の赤とおそろいな」
そう言って赤は自分の髪を指差す。
え、それって、どういう意味??
あたしのかんざしと、赤の髪の色がおそろいって事?
「い、意味分からない!!」
「嫉妬だって、分からないわけ??」
「は、はいぃ??」
嫉妬って、誰が!?
だ、誰に!?
「これから、全力で口説くから、覚悟してろよ」
「………へ?」
あまりの急展開に、まぬけな声が出てしまった。
くくく、口説くって、赤があたしを!?
な、何でそうなる!!
「もう少し様子見ようと思ってたけど、それだと別の男にとられそうだしな」
「な、はあ??」
あたしはどうやら、赤の押してはいけないスイッチを押したらしい。