『忍姫恋絵巻』
「さーいーひー!!」
城に戻ってくると、すぐに家光があたしに抱きついてくる。
そんな家光を、抱きとめる。
「ただ今戻りました、家光」
「ぶー、赤と豊穣祭行ってたのよね!?私も才氷と行きたかったのに!!」
プリプリと怒る家光に、あたしは笑ってしまう。
やっぱり、拗ねると思った。
こういうところは、子供みたいなんだよね。
それを可愛いなと思ってしまうあたしは、重症かも。
「家光様は、才氷と同じ顔だろう?2人でなんて許可できないぞ」
春日局様は、無表情でそう言い放つ。
「春日局のケチ!!才氷には面を被ってもらえばいいじゃない!!」
「却下」
「嫌よ!私も才氷とお祭り行くー!!」
「却下」
す、すごい……。
ここまで、家光のお願いを却下するなんて。