『忍姫恋絵巻』
「赤……」
「桜なんかより、ずっと綺麗だし」
赤はあたしを見て、意味深に笑った。
な、何なんだよーー!!
あたしは、心の中で叫ぶ。
「ずるい!!才氷と私も仲良くしたいのに…」
「家光……」
しょぼくれる家光に、あたしは、懐から菊の飾りのついたかんざしを出した。
実は、家光に似合うと思って、一緒に買ってたんだよね。
「家光には、菊みたいに凛とした強い女になってほしい」
「才氷……?」
家光は、かんざしとあたしを交互に見て、驚いている。
そんな家光に、あたしは笑いかけた。
「あたしからの贈り物です。決して、効果なモノではありませんが…」
「う、うれしい!!」
「っ!!」
家光は、あたしの手をかんざしごと握りしめる。