『忍姫恋絵巻』
「才氷がくれたモノだから、すごくうれしいのっ…」
すると、家光は俯いてしまった。
「家光??」
顔をのぞき込むと、手に温かい雫が落ちてきた。
あれ、家光もしかして…。
もしかしなくても、泣いてる??
「ううっ、ありがとうっ!!」
号泣しながら、家光はガバッとあたしに抱きついた。
「家光…そんなに喜んでくれるなんて、嬉しいです」
「大事にするわ!!ずっとずっと!!」
家光は泣き笑いし、髪にかんざしを差した。
家光にあげて良かった。
やっぱりあたしは、家光の笑顔が好きだ。
「本当に、相思相愛でうらやましいですよ」
赤はそんなあたしたちを見て、呆れたように笑った。
それでも、あたしたちを見つめる目は優しかった。