『忍姫恋絵巻』
「さ、才氷!!どうしよう、城が!!」
「家光、大丈夫です、落ち着いて」
悲鳴を上げる家光を、あたしはそっと抱き締めた。
「赤、才氷。今すぐ城へ行け」
春日局様の言葉に、あたし達は頷く。
「すぐに向かいます」
「了解です」
あたしと赤が返事をすると、家光があたしの手を引いた。
「駄目よ!!あんな火の中なのよ!?」
行かせまいと、あたしの手を離さない。
家光…。
泣きそうな顔してる。
きっと、怖いはずなのに、あたしたちを心配して、必死に引き留めてくれてるんだ。