『忍姫恋絵巻』
徳川城につくと、そこは火の海だった。
「きゃーっ!!」
「た、助けてくれぇ!!」
女中や家臣達の悲鳴が聞こえてくる。
まだ、城に残ってる人がいるんだ。
助けないと!!
「赤、手分けしてほうがいいみたい。あたしが、首謀者を探すから、赤は逃げ遅れた人の誘導を!」
「分かった、気を付けろよ!!」
「赤もね!」
そして、あたし達はバッと二手に別れる。
そして、あたしは笛を吹いた。
ピーッ
「雷鳴ーっ!!」
ホウホウッ
名前を呼ぶと、フクロウがあたしの右手に止まる。
「外から、怪しい奴がいないか探して」
ホーウッ!
そう返事をして、雷鳴はバサバサという羽音と共に、天へと飛び立つ。
それを見送って、あたしは城の中へと入った。
バチバチッ
炎のはぜる音を聞きながら、あたしは城の中を進む。
「ケホッ……」
煙がすごいな。
狐の面を外し、口と鼻を布で覆った。