『忍姫恋絵巻』
「何でも、お前の苦しむ顔がさぞ見たいそうだ!また、主を失い、絶望する姿を楽しみにしておられる!!」
まるで、狂ったように笑う忍びに、あたしの心は、冷たくなっていく。
こんな、狂った奴等に、在政様は殺されたの?
悔しくて、辛かったはず…。
許せない……。
「許さない」
ならせめて、この桜牙門の懐刀で殺そう。
これは、在政様の敵だ。
「凍てつく、精錬の造形」
あたしは、殺気を込めて忍びを睨み付ける。
「ヒッ!!」
目が合った瞬間、忍びは恐怖に固まる。
貫け、あの人の痛みをここで知ったらいい!!
「氷牙!!」
「うっ、ぐあぁーっ!!」
あたしの氷の牙が忍びの腹を貫く。
「あたしが……」
静かにそう言って、ゆらりと氷の牙に貫かれる忍びに歩み寄る。
「く……来る…なぁ……」
「どうして、心の臓じゃなくて、腹を貫いたか、分かる?」
あたしは不敵に笑い、忍びを見る。
「た、助け……」
「死ぬのに時間がかかるからだよ」
簡単になんて死なせない。
あの人の痛みを思い知らせるんだ。