『忍姫恋絵巻』
「もう…傷つけさせない。あたしが、壊すんだ」
「才氷!!」
「っ!!」
赤に名前を呼ばれて、ハッと我に返る。
あたし、今何を考えてた??
すごく、憎くて、怒りでいっぱいになってた。
「もう、力を使うな」
赤に言われて始めて、城の裏手に氷の破片が散り、キラキラしているのが見えた。
「あたしが、また……」
また、怒りに支配されて、力を…。
そこには、力なく倒れている織田家の忍び達見えた。
「才氷…こんな、体が冷たくなってる」
「っ……」
あたしは、赤に抱き締められた。
触れあう肌から、温もりがあたしに移ってくる。
温かい……。
心まで冷たくなったあたしに、赤の体温は心地よかった。