『忍姫恋絵巻』
「まさか、その主……」
「もういない。織田の当主、信秋に……殺されたっ…」
「っ!!」
あたしの言葉を聞いて、赤は目を見開いた。
あたしは、泣くことを止められなかった。
もう無理、これ以上は話せない。
苦しくて、あたしの心が壊れちゃう。
戦えなくなる、弱くなってしまう。
「だから、主を持ちたくないのか?」
「………うん」
「そうか……」
そう言って、赤はあたしを抱き締めたまま、背中を撫でてくれた。
その手に、少しずつ心が落ち着いてくる。
「分かった、もう聞かない。辛い話しさせて悪かった」
そう言って、赤はあたしを屋根に座らせる。
そして、あたしと背中合わせに座った。