『忍姫恋絵巻』
「んっ………くぁ〜っ!」
よく寝た!!
宿にも困らなかったし、誘拐犯には感謝しないと。
立派な部屋で寝ていたあたしは、あくびをして周りを見渡す。どうやら、どこかの城のようだ。
目に涙をためながら、ゆっくりと体を起こす。
「あれま〜……これは挑戦状??」
懐をポンポンと叩いて、その感触を確かめる。
拉致したのに、刀もなにも…武器という物全てが奪われていないんだけど。
「馬鹿…なのか、それとも相当な自信があるのか…」
でも、あたしと対峙したあの忍びは強い。たぶん、後者だと思う。自分の力…もしくは、その忍の力に、自信があるんだ。
それに、さっきから天井裏に人の気配を感じる。
気配を消すのも忍びの中でも、上忍だ。
忍びは、上忍、中忍、下忍があって、上忍は忍者の中でも優れている忍者の事だ。
これは、本人に直接聞いてみよう!
「ちょっと、そこの人!!」
あたしは天井を見て声をかける。
「へぇ、ばれてたんだ」
天井から声が聞こえると、ヒョイッと赤髪の青年が下りてきた。
やっぱり、あの時の忍びだ。
なんとなく、気配が同じだった。