『忍姫恋絵巻』
春日局の元へと戻り、簡単に状況報告をする。
焼けた城は、修復が必要なものの、大奥は無事であった為、城ではなく、大奥に身を置くのか良いだろうということになった。
敵は織田 信秋率いる織田家と、織田に使える八雲の忍びだという事が分かった。
「本格的に、あちら側が動き始めたな」
「織田は、表舞台から引いたと思わせて、今でも裏の舞台で暗躍してます」
あたしの言葉に、春日局は頷いた。
「ここまで城に入られるとは、城内も安心できん。より護衛に注意を払え」
春日局の言葉にあたしたちは強く頷いた。
「才氷ー!!赤ー!!」
すると、家臣を引き連れた家光が、あたし達に駆け寄ってくる。その姿を見て、あたしも肩の力がぬけた。
「家光!ご無事で!」
あたしも、家光に駆け寄り、お互いに抱き合う。
「あっ、才氷!血がっ!!」
「っ!!」
いけない、あたしの服、返り血がついてる。
家光を汚したくない。
「は、離れてください。これは返り血です。血がついてしまいます!」
そう言って手を離すと、家光はホッとしたように息を吐いた。