『忍姫恋絵巻』
「才氷のじゃないのね!?怪我してない!?」
「え?ええ、あたしはなんとも……」
「ならいいの!!」
そう言って、ガバッとあたしに抱きついて、離れようとしない。
いいって、家光に血かついちゃうのに!!
なんで、家光は……。
「あたしも、嫌な人だよね」
あたしの胸に顔を埋めながら、家光はそう言った。
「え??」
言葉の意味が分からなくて、あたしは問い返す。
「その血が、誰かを傷つけた上でついたモノだったとしても、才氷のモノじゃないって分かって、良かったと思ったの」
「家光……」
「あなたが生きていてくれるなら、それでいいって思ったわ」
家光は、あたしによって誰かが傷つけられたとしても、あたしが生きていた事に安堵してくれてる。
それを、家光は自分の罪だと思ってる??