『忍姫恋絵巻』
「才氷が戦うのは、誰かを守る為。だとしたら、あたしも才氷も、背負うは同じだよ」
「っ!!」
それは、前に赤に言われた言葉と同じだった。
罪は、直接手をくだしたかどうかじゃないと。
だとしても……。
「家光は優しすぎます」
ポタリと、あたしは涙を流した。
そんなあたしを見て、家光は息をのんだ。
「あなたは、心が綺麗すぎる。だから、あたしはきっと傍にいたいと思えるんでしょう」
家光は、あたしの心を浄化してくれる。
家光が、あたしの光だった。
「なら、そう思っていてもらえるように、私も頑張るわ!」
そ言って、家光はあたしの涙をぬぐった。
「ふふっ、いつもと逆ね」
「本当ですね」
憎しみが、少しずつ消えていく。
心が温かくなっていく。
いつもと違う立場に、あたし達はお互いに笑いあった。