『忍姫恋絵巻』
⑤桜牙門の懐刀と織田の金槍の巻
城が燃えてから3日が経った。
大奥でのくらしにも、ようやく馴れた今日この頃。
あたしの部屋に赤が居座っている。
「おーい」
赤はあたしの顔の前で、手を振った。
「……………不快、消えて」
あたしは遠くを見つめて言い捨てた。
あたしがこうなる理由は2つある。
1つ目、ただ、気まずい。
あんな事があって、普通に話せる訳無い。
口づけしてから、どんな顔して赤を見ていいのか分からない。
2つ目、なのに赤は何事も無かったかのように、あたしに話しかけてくる事がムカつくから。
赤にとって、あの行為はなんでも無いことなの??
だからか…。だからこんなに平然としているの??
それなら、たはだの女ったらしじゃん!!
女を何だと…。
「思ってるんだーーっ!!」
バコーーンッ!!
鈍い音と共に、赤は遠くに吹っ飛んだ。