『忍姫恋絵巻』
「どちらさま?一体、あたしになんの用?」
「俺は、霧隠 赤。徳川の忍びだ」
霧隠…。
徳川に着くのは、服部家だけだと思ってたけど…。
「霧隠って、徳川についたの?」
「徳川には恩があるんでね」
そう言って霧隠赤はニカッと笑う。
「そう…。それより、この状況がまったく理解出来ないんだけど」
そう言って布団の上にどかっと座り込む。
自分の父が仕える城の人間に、拉致られるなんて。
あたしを拉致したのは、徳川ってことになるじゃん。
「頭痛くなってきた……」
「ククッ、まぁ、そうなるよな」
霧隠 赤はおかしそうに笑い出す。
睨むと、霧隠 赤は肩をすくめた。