『忍姫恋絵巻』
「深いなんてものじゃない。あんたには、きっと分からない程に濃く、根付くような憎しみだよ」
在政様……。
あなたの痛みも、悔やみも、あなたを貫いたこの槍と共に消し去ります。
あたしは目をつぶり、下を向いた。
ブォォォォッ!!
冷気が、あたしの周りに吹き荒れる。
「おいおい、こんな爆弾もってたのかよ…」
五右衛門が息をのんだのが分かった。
だけど、もう遅い。
「許してって言っても、もう止められない」
五右衛門は、織田についた忍び。
在政様と、家光の敵だから、ここで消さなきゃいけない。
「一瞬で決めてあげる」
あまり時間が無いから、体が痺れてきた。
あと数刻で動けなくなる。
その前に片付けよう。