『忍姫恋絵巻』
「織田についているあなたの言葉を、あたしは信じられない」
忍びの未来を愁いながら、この男は結局あたしたちと敵対してる。
それに、あの残虐な織田側の人間の言葉を信じるほど、甘くはない。
「織田に逆らえば……」
バァァーンッ!!
男の言葉を遮って、襖を炎風が吹き飛ばす。
「な、何っ!?」
「これは………」
男とあたしは襖を吹き飛ばした張本人を振り返った。
そこには、肩で息をする赤がいた。
「赤!?」
すごい傷だらけだ。
なのに、助けに来てくれたの?
「才氷、無事か!?」
赤が炎を纏い、男とあたしを交互に見つめた。
「赤、その炎……」
「その話は後だ、おいお前!」
赤は殺気を向きだしにして、男を睨む。
「才氷に何した」
「…その力、霧隠の忍びか」
そう言って男はあたしの体を拘束したま、あたしの目の前で手を構える。
ビリッ
何??
今、電流みたいなのが見えた。
「私は早八雲 先崎(やくも せんざき)。八雲家、現当主だ」
「八雲家…?」
聞いた事がある。確か、昔に滅んだ、雷術を継承する忍びの一族。
先崎の手からは、ビリッと雷が走る。
それを、あたしの顔に近づけた。