満たされないカラダ

私はこのままずっと大雅のそばにいたいと思った。もう少しだけ許して…。そう思った時、私の心の奥がチクッと痛んだ。でも、そんなことお構いなく素直にこの人のそばにいたいと思った。私はもう一度ベッドのところに戻り大雅の横に座った。大雅は私のことを見つめていた。すごい綺麗な目をしてる…。私はその時改めて思った。気づけばまた大雅の手によってベッドの中に引き戻され、私の大好きな大きな手で抱きしめられていた。私は大雅の胸に自分の顔をうずめた。すごい落ち着く。そう思った時に私のおでこに柔らかい感覚があった。顔を上げると大雅がキスしていた。私は大雅に抱き着き、口づけをした。「ねえ…、このままどうなってもいいや…。」そう呟いて見つめた。大雅は一瞬びっくりした顔をしたけどすぐに私が一回着た服を優しく脱がしてくれた。私と大雅が体を重ねてお互いの気持ちを確かめ合っている時に携帯のバイブが鳴る。私達はそんなことを気にしないで体を重ね合わせた。今は何も考えたくない。私は大雅に抱かれながらそう思った。イケないことをしているはずなのにどうして体はこんなに素直なの…?何度も甘い瞬間を迎えた私達は行為が終わった後、二人で抱き合って眠りについた。

数時間後、起きて携帯のディスプレーを見ると大翔からたくさん電話がかかってきていた。私が携帯を握りしめて俯いていると大雅が優しい声で「帰ってあげなよ…。」そう言った。

でも私はどうしても家に帰る気にはなれなかった。それは大雅と一緒にいたいという気持ちもあったんだけど、大翔に合わせる顔がないって言うのが本当の理由。そんな理由を知ってか知らないか分かんないけど大雅はずっとそばにいてくれた。少し心の痛みは和らいだ期はしたけど、気のせいだったのかもしれない。私は大雅に「ごめん。家に電話かけてくる…。」そう言って部屋の外に出た。電話を掛けるとすぐに大翔が出た。そんなにすぐに出なくていいのに…。私はそう思いながら「…もしもし。」と呟いた。電話越しで黙っているけど私のことを心配しているのは伝わってきた。そして、長い沈黙の後「…今どこ?」と今まで聞いたことのないような低い声で言った、私はその瞬間に、あ…嫌われた。そう思った。私は小さな声で「…友達の家。」と呟いた。大雅の家なんて言えるわけないよ。そう思った次の瞬間、さっきとは違う優しい声で「友達って…こんな時間に泊めてくれるやつなんか大雅ぐらいしかいねぇだろ。」と言った。ごまかそうと思ったけど、分かっちゃったか…。私は「うん…。」と言うと、「車で行くから。」と言って電話が切られた。私が大雅のところに戻ると大雅は申し訳なさそうな顔をしてベッドに腰かけていた。「怒ってたっしょ。」そう言うと私のことを子供のような目で見つめた。私は何事もなかったように笑顔で「んー、怒ってはいなかった…かな？」と言った。大雅は私の頭を大きな手で撫でてからキッチンに向かった。キッチンから「コーヒー飲む?」と優しい声で聴いてくれた。私は、まだ二人の体温が残るベッドに横になりながら「ん…。」と言った。