【短編】春になったら
その日の夜
父に、聞かされたことが
更にわたしにショックを与えた。
「来週末、転勤が決まった。
イギリスだ」
父のは、輸入会社の重役だ。
いつ決まってもおかしくはなかった。
その話を聞いたあと
わたしは泣きながら優花に電話をした。
優花は、泣いていた。
「ずっと、一緒だったから、寂しいね。
こっちに戻ってきたら、一番に会ってね?」
って、震える声で言っていた。
翌日、雨宮にもそれを伝えた。
「最後に、幹にぃには会わないの?」
「……会えないよ…。
わたしにはそんな資格ない」
「そんなっ」
「先輩に伝えといて?
わたしは、どこに行っても、先輩のことだけをずっと思ってますって」