【短編】春になったら
わたしは、授業が始まっても、花びらを見ていた。
「なぁ、宮野」
隣から、雨宮に話し掛けられた。
「何よ」
「つれねーなぁ。
宮野ってさ、彼氏いたっけ」
「いないわよ」
「じゃあ俺と付き合わん?」
は……?
はぁあっ!!?
そうゆうことを授業中に言うか!?
「わたし、軽い人嫌いだから。
それに、好きな人いるし」
そう言って、わたしはノートを開いて黒板に書いてあることを写した。
「は?!雨宮にコクられた!?
しかも授業中に!?」
「そう!ほんと信じらんない」
「はぁー、ホント。
やっぱ軽い奴だねー。
噂じゃ彼女五人いるらしいし」
「五人!?絶対無理だわ」
わたしは、友人たちとパンを食べる雨宮を睨んだ。
すると、雨宮がふとこちらを見てきたので、思い切り顔を逸らしてやった。