【短編】春になったら
ある意味落ち込むわたしを、雨宮はじっと見てきた。
「何よ?」
「…いや、あの」
「はっきり言ってよ」
「幹にぃ……保健医の苅田と付き合ってるって…」
頭の中で、何かが崩れ落ちた。
「何…それ」
「……信じれないなら…保健室行ってみればいい。
たぶん、もう来てると」
雨宮が言い終わる前に
教室を飛び出していた。
走って
走って
辿り着いた先は
保健室。
磨り硝子の向こう側に
二つの人影が見えた。
一つは、保健医の苅田先生。
もう一つが、佐倉先輩じゃないことを祈りながら
扉を開けた。
「し、失礼しますっ…!!」