歪な塔の人
寝てた。

こんなに寒い場所なのに
よく居眠り出来たなと
体を伸ばしかけて、止まる。

目の前に境本がいた。

「あ、起きた」

「え?なんでいんの?」

思ったことがそのまま口を
ついてでた。
驚きに思考が停止する。

「せっかく外出たから、このまま帰るのも勿体ないなと思って。電話口、風すごかったからここかなと思ってきてみた」

「へー、アクティブだね」

「駅から歩いたから結構大変だった。はい、バレンタイン。どっちがいい」

「どう見ても肉まんかあんまんの二択なんだけど、手作りチョコではないの?」

「寒かったから」

「いいチョイスだね」

肉まんを受け取って、
境本は隣に座ってあんまんを食べる。
寝てるあいだに冷えた
体に染みるように
あたたかい。
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