歪な塔の人
私が死のうが生きようが
この星はただ回る。
人間に蝕まれて
飢え渇いたとしても助けなど
もとめられずに死んでいく。

御愁傷様です。

そんな日が来るとしても
きっと百年後。
この瞼が閉じたあとなら
どうとでもなればいい。

悟るように、
諦めるように、
選びとるように、
受け入れるように、
私たちは一生になる。

「松本、」

「あ、おはよう境本。今日は本棚の整理だってさ」

「うん。」

同じ時間を過ごせるように、
来年は同じクラスになれるといい。
三年生は文理選択で
どうせ別々だから、
二年生が最初で最後。

先のことに期待を込めるなんて
初めてかもしれない。
しかも松本と、か。

「あ、」

「ん?」

「言ってなかったなと今更きづいた」

「何が?」

重くて不安定で複雑怪奇に
厄介なこの私。

どうか、
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