【短編集】母親観察論
空気
私の母は眠気に弱い。
夕食後の昼寝ならぬ夕寝は日課であるし、
いい年して就寝時間は9時。
無論、車に乗れば早いときは10分もせずに夢の世界へ飛ぶ。
母が寝始めて1時間ほど後。
だいぶ眠りは深くなっているだろうその頃に、
父は運転席で大きなあくびを一つ。
その瞬間、寝ていたはずの母が口を開いた。
「んー・・・パパァ、今あくびした・・・?」
「したけど?」
寝てたはずなのに。パパは無音だったのに。
なんでわかったんだろう。
「なんでわかったの?ママ。」
「だってさぁ・・・
今、空気が薄くなった。」
私の父の肺活量は、いったいどれくらいなんでしょうね。