全てをくれたあなたに

逃走


空がほんの少し明るくなり始め、朝を迎えようとする頃。





部屋の外から足音が聞こえ、鍵が回される音がしてドアが開かれる。





手錠と鎖が外され、私は暗い部屋から陽の光の届かない地下へと連れていかれる。





私は朝を知らない。




太陽を知らない。







夜は部屋に閉じ込められ、昼間は地下に連れて行かれてストレス発散の道具となる。





逃げる事など不可能なため、何の抵抗もせずに歩く。





地下の扉が開かれ、大きな部屋に入る。






そこには、夜勤で働いていた者達が集まっていた。






ざっと見て10人程だろうか。






男も女も皆機嫌が悪く苛立ちを顔に表していたが、私の姿が見えると待っていたかのようにニタリと笑みを浮かべた。
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