全てをくれたあなたに
「はぁ、無自覚って怖いわ。」
「俺には夏希がいる、ロリコンじゃねえ!」
顔を覆って溜息をつく夏希と、銀司のようにキャラが崩壊した仁。
『龍二・・・』
銀司の時と同じく、なんだか怖くなって龍二を呼んで見上げる。
「・・・お前は気にするな。」
なぜか複雑そうな顔をしてそう言われた。
すると食堂の襖が開き、続々と組員が集まってきた。
「お疲れ様です。」
「こんにちは。」
皆それぞれ挨拶をして自分の席に着くが、龍二の隣にいる私を見て不思議そうな顔をする。
――おい、あの子誰だ?
――いや知らねぇ。
――なんか幼くねぇ?はっ!まさか!
――え?隠し子?若か?
――いやそんなはずねぇ、育ちすぎだろ・・・
――じゃあ誰だ?あれ?姐さんなんで顔覆って・・・
――まさか組長・・・?
――浮気か?でも組長は姐さん一筋の筈。
――でもあの整ってる容姿だぜ?他に誰がいるんだよ?それに若も複雑そうな顔をしていらっしゃる。
――だよな、やっぱりそうなのか?
次第にざわざわと仕出し、終いにはあらぬ方向へと話がいってしまった。