全てをくれたあなたに
足元までの長い黒髪がサラリと揺れ、幼い顔に淡ピンクのワンピースがより儚さを強調しているその姿に、ほとんどの組員が見とれていた。
「・・・見とれているところ悪いが、この子は真白という。
龍二のお気に入りでな、正式ではないが俺達の家族だ。これからこの屋敷に住む。
見かける機会が多くなるから、護ってやってくれ。」
「「「はいっ!!」」」
組員の元気な返事に満足したように頷くと、私の方を見て何か言うか?と聞いてきた。
私はこくん、と頷くと前を向いてみんなの顔を見渡した。
『こんにちは、真白と言います。
龍二に助けられてここに来ました。私自身組のことはよく分からないし、皆に迷惑をかけてしまうかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。』
ぺこり、と頭を下げる。
「こちらこそよろしくお願いします!」
「困った事があれば遠慮せず使ってください!」
そんな簡単に受け入れてもらえないとばかり思っていた私は、みんなの歓迎の言葉に驚いた。
分かりにくいが、こわばっていた顔が和らいだ事が分かった仁は微笑み、座った。
「各自聞きたいことがあるかもしれんが、すれ違った時少しずつ聞くようにしてくれ。
では夕飯を食べるとしよう。手を膝に。」
仁の言葉に皆手を膝に戻す。
「いただきます。」
「「「いただきます!」」」
仁が膝に置いた手を合わせて挨拶をすると皆も続いて挨拶をする。