全てをくれたあなたに

『そうですか?夏希さんがいたじゃないですか。』




「だって私に真白ちゃんみたいな可憐で儚い雰囲気は無いもの。」




『よく分からないけど、私は夏希さんのような明るくて強い人になりたい。』




「真白ちゃん・・・もう、大好き!」




『きゃ、』




バシャ、と音を立てて抱きついてきた夏希さん。




頬に夏希さんの柔らかい胸が押し付けられて少し息苦しい。




『な、夏希さ、・・・はわっ!?』





むにゅ、と夏希に胸を鷲掴みされた。




『ななななななな、っ!』




「あははっ、どもり過ぎよ!」




口をぱくぱくとして何も言葉にできない私を笑う夏希。




「だって、夏希さんなんて距離を感じちゃって。抵抗があるなら無理しなくていいけれど、せめて真白ちゃんにはちゃん付けで呼んで欲しいな。」




眉を下げてそう言う夏希。




姐さんと呼ばれる事が多いし、女の人がいないから寂しかったんだろうな。




それなら他の誰も呼ばない呼び名で呼ぼう。



そう思い、私は口を開いた。
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