全てをくれたあなたに
夏希が携帯で私たちの写真を撮っていた。
「うん、真白ちゃんは黒猫も良く似合うけど白猫の方がいいわ!」
夏希は寝巻きの帯に携帯を挟むと、髪を乾かしましょ、と言って私を部屋の奥に連れていった。
タオルで軽く水気を取ってドライヤーの温風が当てられる。
「熱くない?」
『うん、大丈夫。』
やがて乾いた髪の毛は、夏希が丁寧にトリートメントまでしてくれたお陰かいつもよりサラサラつやつやになっていた。
『ありがとう、なっちゃん。』
「いいえ〜」
なっちゃんの髪の毛も乾かそう、と思ったが夏希のボブの髪の毛は少しドライヤーをかけただけで乾いてしまった。
夏希はドライヤーをしまうと、
「早く戻らないと龍二が怒りだすわね。」
と言ってドアの方へと歩き出した。
私もルナを抱き上げてついて行く。