全てをくれたあなたに

夏希にパーカーのフードを被せられ、そのまま廊下を歩いていると組員に会った。



「姐さん、おやすみなさいませ。
あ、真白様も・・・ブッ!」




『えっ、大丈夫ですか?』




突然鼻血を吹き出して倒れた組員に駆け寄って顔を覗き込む。




あ〜あ、と夏希が言っているのが聞こえたが気にしない。





「だ、だだ大丈夫っす。
じ、自分はこれで失礼します!」





『あ・・・』





まだ鼻血が止まっていないのにバタバタと近くの襖を開けて入ってしまった。






「ふふ、真白ちゃんは天然さんねぇ。
こりゃ龍二も苦労するわ。」





苦笑いしながら私を立ち上がらせる夏希。





その後も何人もの組員と会ったが、皆私を見ると鼻血を吹き出して逃げるように去ってしまった。





『なっちゃん・・・私皆に嫌われてる?』





「あちゃ〜、真白ちゃんの可愛さが裏目に出たか・・・」





夏希はつぶやくように言うと私の前に来た。




「大丈夫よ、真白ちゃん。
今日は皆真白ちゃんが来てくれたのが嬉しくてちょっと飲みすぎちゃってるみたいなの。」






だから鼻血が出やすくなってるのよ、と私の頭をなでながら言った。
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