全てをくれたあなたに
「・・・おい。」
その時、後ろから低い聞き覚えのある声が聞こえた。
「バタバタと組員がうるせぇしどいつもこいつも鼻血出してると思ったら・・・」
はぁ、とため息をついてこちらに近づいてくるのは、龍二と銀司だった。
「お〜こりゃまたそそる格好してるねぇ〜」
「チッ」
『わ、』
龍二が舌打ちすると、ルナが私の腕の中から飛び降り、フシャー!と龍二と銀司に威嚇した。
「ほら2人が如何わしい目で真白ちゃんの事見るから護衛が動いたわよ?」
可愛い護衛よね、と笑う夏希。
「んー、でも子猫にしては大きいし、黒ヒョウだったりしてね?」
「あ?ヒョウにしては顔が綺麗すぎねえか?」
「まあ分からないけどね。
真白ちゃんの事迎えに来たんでしょう?
私は戻るけど、可愛すぎるからって襲っちゃダメよ?あ、そうそう!」
にや、といたずらっ子の様に口角を上げると、夏希は龍二に耳元で何かを囁いた。
「・・・あ?」
「やだ、そんなに怒んないでよ。
揉み合えるのは女の特権よ♪」
そう言って去っていった夏希。
なんとなく何のことか分かってしまったが、気にしないふりをした。
『・・・ルナ、おいで。』
しゃがんで両手を出す。
私の声に反応したルナは逆立てていた全身の毛を元に戻して私の腕の中に飛び込んできた。