全てをくれたあなたに
今度のドレスは赤いドレスで薄い透けるような布が何枚にも重ねられ、胸元には小さなバラが並べられていた。
私は無言で着ていたドレスを脱ぎ、新しいドレスを身にまとった。
それを確認した男は付いて来いと言わんばかりに私に背を向けて歩き出した。
瑠璃華の相手はいつも夜なのに、なぜ今日は今なのか。
そう考えているといつの間にか瑠璃華の部屋の前に着ていた。
コンコン、と男がドアをノックする。
はぁい、という甘ったるい声の後、静かにドアが開けられた。
「失礼します、瑠璃華様。
人形を連れてきました。」
男は声のトーンを変えることなくそう言うと、私を瑠璃華の部屋へと押し込んだ。