全てをくれたあなたに

立ち上がり、襖を開けると、目の前に黒く細長いものがゆらゆらと揺れていた。





『・・・ルナ、どうしてここにいるの?』






「・・・今までは部屋から出ていいのか分からなくて遠慮していたんじゃないのか?」






龍二がルナの頭を撫でながら言う。






『そっか、ごめんね、ルナ。
仁さん、ルナも一緒に来ちゃ駄目?』





「いや、いいぞ。これからする話はきっとルナも理解してくれるだろう。」





行こう、と言って歩き出す仁。





仁の部屋に入ると夏希が座っていた。






最初にここに来た日と同じように龍二と並んで座ると、ルナは私の後ろに伏せの姿勢で座った。





「話というのはな、




真白、学校に行ってみないか?」






『・・・学校?』






「あぁ。真白は頭がいい。詳しい学年は分からなくても高校生の年だから、もし行くのなら龍二のいるクラスに入れようと思うが」





どうだ?と聞いてくる仁。

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