全てをくれたあなたに
学校というものに興味がなかったわけじゃない。
ここに住むようになってから数ヶ月、制服姿で帰ってくる龍二と銀司を何回も見た。
女の子の話をする銀司、たまに男友達と電話をする龍二。
今の生活に不満がある訳では無いけど、そうやって外でも信頼し合う関係を築けることが羨ましく思った。
『私は・・・行きたい。
学校に、通いたい。通わせてください。』
膝の前に手をついて、深く頭を下げる。
「真白、無理しなくてもいいんだぞ?」
心配そうに言う龍二。
『ううん。我儘だけど、龍二達が羨ましかったの。私も、龍二達のような信頼し合える友達が欲しいって思ったの。』
龍二の目を見て、逸らさずに言う。
「・・・そうか。」
「龍二、真白をお前の仲間に会わせるのがいいんじゃないか?」
「あ・・・」
仁の言葉を聞いてはっとする龍二。