全てをくれたあなたに
何の感情も読み取れない目で見た後、今日はいつもより少し熱めのシャワーを浴びた。
身体の汚れも落ちてサッパリとし、ドレスを着て廊下に出ると、先程の男が壁にもたれて立っていた。
チラ、と私の姿を一瞥すると
「今日は部屋を変える。
お前がいつもいる部屋は今日は目が届かないからな。」
と言って歩き出した。
黙々と歩く男について行くと前の部屋よりも少し広めの部屋へと入れられた。
日はもう沈み、床の上には月明かりが差し込んでいた。
部屋は変えられても私の自由はないらしく、いつもの通り手錠と鎖を付けられ、私は冷たいフローリングの上に座り込んだ。
そのまま夜空を眺めていると、どこからかたくさんの人の笑い声が聞こえてきた。
宴会が始まったのだろう、笑い声は耐えることがない。