全てをくれたあなたに
「俺の事こんな時間に使うなんてお前くらいだぞ、龍二。」
『・・・近藤先生?』
「理由は後で龍二にでも説明してもらえ。
おら、早く乗れ。」
俺は暇じゃねぇんだ、と言いながら車に乗る一哉に続いて私達も乗り込んだ。
鳳凰の溜まり場へと走る車の中。
『きゃっ、ちょっとルナ、だめよ。
んっ、くすぐったいっ』
学校で私に構ってもらえなかったルナがシートに座る私に覆い被さり、首や顔を舐めていた。
「・・・おい、こいつらはいつもこうなのか?」
「・・・家出はいつもこうだ。」
「ルナの舌遣いで真白ちゃん感じ・・・ゴフッ」
「黙れ銀司。」
「・・・ばか。」
ルナとじゃれていた私は皆がそう話していたことに気付くはずもなかった。