全てをくれたあなたに

冬樹は給湯室から飲み物を取り出してくると私達の前に置いてソファに座った。





「先ず、壱哉の事だが。」





飲み物を一口飲んだ龍二が口を開く。






「あいつは鳳凰の9代目総長だ。
俺らの先々代に当たる。」






『先々代ってことは龍二達は11代目?』






「あぁ。ちなみに、鳳凰の初代総長は俺の親父で、理事長は副総長だった。」






『そうなんだ・・・』





あの優しそうな理事長が副総長だったなんて、と思いながら相槌を打つ。





「それから、この溜まり場だが。
ここは元々工場だったんだが、先代達が金を出し合って10年前、ホテルみたいに立て直したんだ。」





『だからこんなに綺麗で居心地がいい空間になったんだね。』






「あぁ。1階は下っ端の奴らが主に使っている。2階は傘下の総長が泊まれるように客間や物置になっている。3階はこの部屋の他に幹部の部屋がある。」





「3階は幹部以外は俺らが許可したやつしか来ちゃいけないんだ。」
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