全てをくれたあなたに
少し月が傾き、いつまでやるのだろうかと思い始めた時、廊下から不規則な足音が聞こえてきた。
1人分の数だが酔っているのだろう、あちこちにぶつかりながらこちらの方まで近づいてくる。
この部屋には来ないことを祈るも、運がないのかドアが開けられてしまった。
入ってきた男を見ると相当酔っているようで、唸っている。
すると突然その男はガバッと顔を上げた。
そして私を見つけると、
「あ〜カワイコちゃん発見~!」
と私の身体を舐めまわすように見ながら近づいてくる。
―――ドクンッ
男のその視線に私の心臓は嫌な音を立てた。
・・・前にもこんな事があった?
初めて感じる恐怖に体は固まり、動かない。